Story

#00 死に絶えた森の奥で

陽の届かない死にかけた森には、汚れた水と荒れた大地、生を許された僅かな植物が点在するのみだった。迷い込んだ獣は生きることを許されず、死に絶えて土に返るが、その土から新たな命が生まれることはない。

森は死に、長い年月を経て冷たい砂漠となった。

死を内包する砂漠には生命は存在せず、十字架のみが存在を許されていた。砂に埋もれた十字架には、所々に模様が刻みこまれ、赤く錆びた鎖に抱かれていた。

地に垂れた鎖は罪人へと続く。血の気のない白い罪人は、頭を垂れ永い眠りについていた。

1つの願いを叶えることを夢見て……。

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copyright 紙月 狐 [ namegh@hotmail.com ]